Firefly Carbon Foam Batteryは、従来の鉛電池の電極を改良したものです。陰極をナノカーボン素材に変更し、1)欠点の解消、2)性能の向上のふたつを果たしました。

エネルギー密度が約2倍

すなわち、キャタピラの開発チームは、1)自己放電が大きい、2)完全放電で壊れる(サルフェーション)、3)低温下で性能を発揮できないという鉛電池の欠点が、電極に由来することをつきとめ、ナノカーボン素材を開発することで、CFBを実用化したのです。

欠点の解消も重要ですが、さらにメリットが大きいのは、エネルギー密度(単位質量あたりの蓄電容量)が、従来品の約2倍あることです。これは何を意味しているかというと、「同じ容量」のバッテリをつくった場合、CFBは従来型鉛電池の約半分の重さにできる、ということです。

たとえば自動車エンジンの始動用バッテリは、10kg~20kgくらいの質量です。これをCFBに変更すれば、5kg~10kgにダイエットすることができます。自動車の軽量化に大きく寄与できるのです。

電解液から電解ゲルへ

CFBの革新は、電極にとどまりません。電解液を電解ゲルに変更することにも成功しています。地味な話ですが、すごいことなのです。なぜなら、これによって、鉛電池であるにもかかわらず、横置ができるからです。

横置ができると、設置の自由度があがります。自動車や農機などの設計も変わりますし、電力プールのメンテナンス性も変わります。論より証拠。この写真をご覧になってください。コンパクトに設置しつつ、すべての端子がこちらを向いていますから、ユニットごとの交換も容易です。

流通も劇的に変化

また、自己放電をほとんどしないというCFBの特長は、鉛電池の流通の常識をも変えます。

既存の鉛電池は、自己放電が激しく、かつ完全放電するとサルフェーションが起きて、使えなくなってしまうため、店頭在庫に気を使いました。CFBなら、1年くらい店頭で在庫をしても、トラブルは起きません。それでも、フル充電に近い状態を保っています。